16歳 女性 学生 京都市南区
主訴|原因不明の握力低下と頭痛
平成27年10月5日頃より、風邪のような症状により体調不良となる。
同時に頭痛と手の脱力感が出だす。
自宅療養で様子を見てみたが、三日経っても改善がなかったため神経内科を受診し各種検査を行うも『異常なし』。
そのほかの病院でも特に異常を認めず、自律神経調整の薬を処方される。
その後10日ほど経過して頭痛とともにめまいを発現。握力が低下し、物を掴んでも落とすようになる。時に嘔吐もみられる。
病院で処方される薬を飲んでも改善がみられないため、少しでもよくなればという思いから来院を決意する。
検査|頸部可動域検査で伸展の動きの悪さ認める
肩関節の可動域 正常
頸部可動域検査 伸展で動きの悪さ認める
骨盤動揺性 正常
クラニアル検査 後頭骨、前頭骨に動きの不良認める。また、頭蓋骨全体の動きが小さい。
筋膜テスト 骨盤と頚椎、肩の筋膜の動きの悪さを触知
内臓検査 肝臓と胃に疲労蓄積
握力MMT 左右ともに MMTレベル 0〜5 で 3
全身状態
夜間に何度も目がさめて熟睡できない、薬を常時服用していることにより肝臓に疲労が色濃く出ている。
また、嘔吐による胃の疲労も同時に認める。
以前から頭痛が出ることがあったが握力の低下については初めてとのこと。
以前の頭痛は安静にしていれば問題なく治まる程度だったという。
施術
初回
検査により、脳脊髄液の循環不良による身体恒常性の低下、頭蓋骨の動きの不良による脳圧の上昇、睡眠状態不良による自律神経系が不調になったものと判断。
骨盤と頭蓋骨を調整し、脳脊髄液の循環不良を取り除き身体の身体恒常性(自然治癒力)を調整。調整後、頸部進展角が上昇。変化がみられたため、初回はここで終了。
付き添いで来られていた保護者に状況を説明し。施術や考えに独自性があるが、話を聞いて納得した上で帰宅される。
また、本人には睡眠をしっかりとってもらうことを指導する。
二回目(1日後)
『頭痛がなくなりました。握力もちょっと戻っています。』と検査前に報告を受け、喜んでいる。
検査をし、頸部伸展角は正常化。
握力は3→3.5まで上昇。
頭蓋骨の動きは変化なし。
前日より、骨盤と頚椎の動きが良いため、脳脊髄液の循環不良は改善傾向。
前回と同様の施術後、内臓疲労(肝臓・胃)を取り除く触れる程度の鍼を数カ所に施行。
終了後の再度検査で頭蓋骨の動きがスムーズになったため二回目はここで終了。
状態が改善傾向の為、再度睡眠をしっかりととるよう指導。
三回目(4日後)
ご両親に付き添われ来院。
頭痛は消失。
検査にて、握力MMT3→4に上昇。
頭蓋骨の動きもスムーズ。
内臓疲労が軽度残存していたため、前回同様の鍼を行い終了。
今後は経過観察のみで問題ないことを伝え施術は本回のみで終了する。
解説|握力低下について
《握力低下について》
頭痛に関しては頭蓋骨が問題・・・ということは想像できると思いますが、握力低下についてはなかなかイメージがし辛い部分だと思います。
病院の検査などではこのような場合、まずは『頚椎症』が疑われるところでしょう。
しかしながら、過去の臨床経験によると頚椎症自体が握力低下の一因になっていることはMMTで全く力が入らない状態になっていることがほとんどでした。
そのような場合は手術適応になりますが、今回のような一時的な筋力低下は自律神経の不調で多分に起こりうることです。
原因は日常のオンとオフを切り替えられないこと
自律神経系というとなんとなく理解している人は多いです。原因不明だがなんらかの病状がある場合にそう言った言葉は多用されます。
しかしながら、自律神経系の疾患とは『日常のオンとオフが体の中でうまく切り替えられない状態』を言います。
例えば、寝不足で日中が眠いなどが容易に想像できる自立神経系の不調です。
このような状態が続くと、食欲の不振、筋肉の不調和による肩のこり、血管が収縮しっぱなしになり頭痛起こる、以上のような症状を引き起こします。
また、今回のように脳からの正しい指令が筋肉に伝達されずに握力の低下を引きおこすこともありうるのです。
今回のケースでは睡眠不足が多分に見られた為、十分な睡眠を取ることで日常生活のオンオフの切り替えの正常化に努めてもらいました。
脳圧の上昇による頭痛
頭蓋骨の内部は脳脊髄液という液体で満たされています。
これは、脳を保護する・栄養する・体内の恒常性を保つ働きがあります。
この液体は脳だけでなく背骨全体に流れています。
この液体が姿勢の不良、頚椎の歪みなどで循環不良になると脳に液体が貯留し、頭蓋骨の内圧が上昇します。
そうなると、頭蓋骨を中から押し広げるようにして頭の中がパンパンになり頭痛を引きおこすのです。
今回の頭痛は、この圧力を頭蓋骨の調整を行うことによって下降させることで改善させることができました。
原因不明と言われる症状でもケースによっては、今回のように理論立てて考えると症状改善の糸口が掴めることがあります。
病院に行ってお手上げ状態と言われても以外と改善する方法はあるものです。
この記事を書いた人
【京都市のコバヤシ接骨院・鍼灸院院長】柔道整復師、鍼灸師の国家資格保有者。ジオン療法セラピスト。総合格闘技道場GROUNDCOREのトレーナー、プロ柔術MATSURI、アマチュア格闘技イベントレグナムジャムのリングドクターも経験。スタッフのほとんどが京都人という、地域密着型治療院として健康を守っています。