《症例報告》ハードトレーニングによるシンスプリント《改善例》 

20歳 女性 学生 ラクロス部  滋賀県

 

主訴|シンスプリント

大学一回生からラクロスを開始。
高校生時代からシンスプリントの既往があり、今回は自己判断によりシンスプリントと確信する。冬のシーズンオフ前に練習量が増加し痛みが再発。
現在、一年生であるがレギュラー入りをしっかりしたい、練習を離れたくないと言う思いからスポーツ選手にも力を入れている当整体院に来院する。

検査|起床時・階段の上り下り・歩行時にも痛み

起床時・階段の上り下り・歩行時にも右下腿内側に強い痛みが出る。
安静時痛はない。
下腿内側 脛骨内側骨端下部の約10センチ範囲に圧痛あり。
また、何度もシンスプリントを繰り返しているためか、骨膜の一部肥厚見られる。
骨盤:骨盤が右前上方へ、左が後下方へずれ込んでいる。
体幹:骨盤の状態に伴い、右へ体幹の回線見られる。
股関節:両股関節が強く内旋
足趾:外反母趾あり。また、浮き指が強い。

全身状態|全身疲労が強く脳脊髄液の循環が悪い

クラブはシーズンオフになったが、アルバイト・学校の課題に追われ、睡眠不足が続いており、全身疲労が強く脳脊髄液の循環が悪い。
腰部にヘルニアの既往があり、普段から姿勢が悪く猫背が強い。

施術

初回

外反母趾・浮き指が強いため地面に対してしっかりと足指を使えていないこと。また、骨盤のゆがみ・股関節の捻じれによるシンスプリントと判断。

全身の自然治癒力上昇(脳脊髄液の循環改善)を目的に骨盤調整・頚椎調整を行う。

加えて骨盤と股関節のねじれを調整。
痛みの度合いが10→7に低下。

歩行時の変化に驚いている。

初回はここで終了。

骨膜の肥厚とすねの骨の炎症が強度の為、自宅でのアイシングを指示する。

二回目

初回施術より、起床時の痛み緩和するも大きな変化なし。

前回同様の施術+下腿部の緊張を取り除くよう調整。

加えて全身疲労の改善を目的に鍼灸治療を行う。

鍼灸治療中、深い睡眠が得られた様子。

調整後の痛み10→6へと低下。

三回目

前回同様、痛みの変化は起床時緩和しているも階段昇降時の痛み・走行時の痛みが強い。

できるだけ早期改善がしたいとのこと。

本人に多少痛くても我慢できるかを意思確認。

できると返答あった為、シンスプリントを引き起こしている深部筋『後脛骨筋』を直接針で刺激する。

本人最初は刺激に驚いていたが『思ったより大丈夫』とのことで問題ない様子。

後脛骨筋を刺激したまま、鍼を20分ほど置鍼。

立位時、足の軽さに驚いている。

痛みの度合い10→3に低下する。

四回目

痛みの度合い。

10→1~2程度に低下。

前回同様に鍼を行う。

今回はそこまでの刺激量はない様子。

鍼を抜鍼後、骨盤調整を行い終了。

五回目

痛み10→0

痛みの訴えなし。

シンスプリントに関して完治認めた為、本回で施術終了とする。

ただし、足部に浮き指があるため足指に力が入っておらず、足全体の使い方が不良になっている。
今後、この浮き指を改善しない限りはシンスプリントが再発するであろうことをつげ、次回より浮き指改善施術を行うこととする。

解説|シンスプリントが冬場に増える理由

単純に走量の増加が問題

競技によってはシーズンオフになり、走り込みが増える。

今回、ラクロス部ということで試合のシーズンは終わったとのこと。

その後、この時期になると部によっては走り込みやトレーニングといった身体強化を重視することがある。

単純にこの疾患は走量が増えると発症するリスクが高まるのでその影響は強い。

また、中学・高校時分では『持久走』などが授業で取り入れられたりもする。

部活動によっては朝練などで走り込みがあり、授業で走り込む。また放課後クラブ中に走りこむことによってシンスプリントが増加するケースも考えられる。

シンスプリントを引き起こす後脛骨筋

シンスプリントはこの後脛骨筋が炎症を起こすことによって引き起こされます。

シンスプリントは骨膜の炎症として扱われることが多いです。

これも間違った考え方ではないのですが、その大元を引き起こすのはこの筋肉です。

この筋肉、困ったことに直接触ることが出来ません。

なぜなら、すねの骨の裏側(ふくらはぎのずっと奥)に存在するからです。

ここをうまく刺激するには『鍼』しかありません。

原則、鍼には痛みは伴いません。
しかしながら、原因を引き起こしている筋肉が炎症を引き起こしている場合、その部分を刺激するときは強い刺激を伴います。

今回の場合がそうですね。

炎症を起こしている部分というのは、体表でいうとすりむいた部分と同じです。

触られると痛みます。

鍼の特徴は使い方によっては『炎症を抑える』作用があります。

今回はその働きを使って症状の改善を促すことが出来ました。

根本は足の浮き指が原因、これを改善しないと再発する

今回、後脛骨筋の炎症を抑えて痛みを改善したのは『根本施術』ではありません。
今回のシンスプリントでしっかり改善しないといけない部分は『足指』です。
足指が今回のケースではしっかりと地面についていない『浮き指』になっていました。
浮き指になると、正しく足が使えず、足のトラブルを増やす傾向を作ります。
シンスプリントは再発する!というイメージがありますが、こういった根本の部分を施術せずに、放置しているということが殆どだからなんです。

再発さ施ないためには、痛みがしっかりと収まっているうちに根本を改善していくことが大事になります。

この時期、シンスプリントでお困りの方へ

学校で持久走が増えたり、またマラソン大会に向けて走り込を続けている人、シンスプリントが出始めたりしていませんか?
痛みが軽い場合、シンスプリントは数回の施術で大きく改善します。

もし、痛みによって走ることに困難を覚えだしたら是非ご相談ください。

その痛み、以外と早くなんとかできるもんです。

この記事を書いた人

京都市_コバヤシ整骨院・鍼灸院

【京都市のコバヤシ接骨院・鍼灸院院長】柔道整復師、鍼灸師の国家資格保有者。ジオン療法セラピスト。総合格闘技道場GROUNDCOREのトレーナー、プロ柔術MATSURI、アマチュア格闘技イベントレグナムジャムのリングドクターも経験。スタッフのほとんどが京都人という、地域密着型治療院として健康を守っています。