年齢3歳 性別女性 京都市
主訴 肘内障による肘の痛み(左肘の脱臼)
概要|子供の肘が外れた
治療院の受付時間終了後、院の電話がなり『子供の肘が外れたので見て欲しい。』という連絡を受ける。
時間外ではあるが、緊急性を要すると判断したので受け入れる。左肘が痛いのか、右手で腕を抱え、母親に付き添われながら来院する。
検査|左腕に問題あり
左腕に問題あり(右腕で左腕を抱えたまま動かそうとしない)。
母親曰く、腕を強く引っ張ってしまったのかも知れないとのこと。過去にもこのようなことが何度もあった様子。
触診・状態把握により肘に問題があるものと判断する。
施術|左ヒジの肘内障(亜脱臼)
検査の結果、左ヒジの肘内障(亜脱臼)と判断。痛みのためか、初めは身体に触らそうともしてくれない。
母親協力の下ゆっくりとお話をしながら関係性を築くことから始める。
10分ほどしてから、右手での握手などを許してくれるようになり、問題の肘関節を触知可能となる。
肘関節をやさしくつつみ、手首を軽く動かすと『パチン』という音とともに肘の脱臼がもとに戻る。
この後、状態確認を20分程度続けると自分から左手を動かすようになる。
脱臼の操作が正確に行われたことを確認し終了とする(子供の肘の脱臼はほぼ一回の施術で終了する。)。
解説|肘の脱臼は触れる程度の力を加えるだけで戻る
肘の脱臼というと強い力で引っ張るイメージがあるようですが、正しく行えば触れる程度の力を一秒加えるだけでもとに戻ります。
今回は普段行っている整骨院が時間外のため受付しておらず、当治療院を探して来院に至ったとのこと。
このようなケースは珍しくはありませんし、急を要することなので正しい判断だと思います。
ただ、子供の肘の脱臼に関しては整骨院選びをしっかりと行う必要があるといえます。
なぜこのようなことを言うのかというと、病院や整骨院、ところによっては子供の肘の脱臼に対して、乱暴に扱うなどの施術(肘をグリグリ無理やり動かす。腕を強く引っ張る。)を行うケースがあるという話を聞くからです。
このような身体操作では子供の恐怖心を煽るばかりか、脱臼がもとに戻ることもありません。ひどい場合は逆に痛めてしまいます。
恐らく、身体の構造が正しく理解できていないか、臨床経験が少ないことがこのような危険な操作をためらいも持たずに行う要因になっているのでしょう。
施術家としては嘆かわしい事実ですね。
肘脱臼が起こったらどのような整骨院(先生)を選ぶべきか?
1.落ち着いていること
臨床経験の浅い先生に多いですが、子供の肘脱臼が起こった場合、子供の多くは泣いているかどこが痛いか分からないでいます。
この状況に焦りを覚えるようでは充分な臨床経験があるとは言えません。
このような状況でも落ち着いた先生にかかるべきでしょう。
2.いきなり腕を触ろうとせず、関係づくりから始める
子供は痛い時に、見たこともない人に身体を触らせてはくれません。
臨床経験が浅い場合、こういった子供の心理を理解せずにいきなり腕を触ろうとします。
肘脱臼に慣れている先生は、まずは子供と仲良くなろうとする関係づくりから始めます。
3.肘を曲げたり、腕を大きく動かそうとはしない
どこで習ったのか、子供の肘脱臼に関して腕をグリグリと回したり、肘を強く曲げて直そうとする先生もいるようです。
先にも書きましたが、触れる程度の力で軽く手首を動かすだけで脱臼は正しく直せます。
見た目に粗大な動きをするところは疑ってもいいかもしれません。
肘を曲げるのは脱臼が正しく戻ったかを確認する程度です。
総括
子供の肘の脱臼は急に起こるため、いつ何時に治療の必要性が出るかわかりません。
いつも行っている整骨院が時間外でしまっていて、なんとかしてほしいけど他を探す必要性ももちろん出てきます。
そうした中で、正しい施術をしてくれる整骨院選びは非常に重要になります。
なぜなら、間違った治療は再発や障害を残す可能性さえあるからです。
今回の記事が正しい整骨院選びの参考になれば幸いです。
この記事を書いた人
【京都市のコバヤシ接骨院・鍼灸院院長】柔道整復師、鍼灸師の国家資格保有者。ジオン療法セラピスト。総合格闘技道場GROUNDCOREのトレーナー、プロ柔術MATSURI、アマチュア格闘技イベントレグナムジャムのリングドクターも経験。スタッフのほとんどが京都人という、地域密着型治療院として健康を守っています。