69歳 男性 ビルメンテナンス業 京都市伏見区
主訴|腰痛と立っているときの下腿のだるさ
半年前から腰臀部の起床時のだるさ、立ち上がり始めの痛み、立っていると下腿部の痛みが強くなる。
病院でレントゲンを撮るとドクターより『歳のせい』といわれ、まともな加療を受けられないことをひきりに近くの接骨院に通うようになる。
そこで電気・マッサージなどを受けるも一向に改善せず、当整体院にて通院中の娘の紹介で来院する。
検査|腰に突っ張り感が強く痛みが走る
腰部可動域 右に捻ると腰に突っ張り感が強く痛みが走る。
脊椎の硬さ TH(胸椎)7〜10 L(腰椎)全体に硬さを認める。
骨盤動揺性 左右の骨盤に動きの不良・硬さあり
筋膜テスト 股関節の外旋が強く臀部付近の硬さ右に強い
硬膜テスト 硬膜にねじれを確認
内臓検査 肝臓と腸に疲労認める
筋力検査 右(中臀筋・腸腰筋・大腿四頭筋・ハムストリングス・下腿三頭筋・前脛骨筋)に左と比べ著名な筋力低下を認める。
神経テスト 正常
腱反射 正常
知覚 左と比べ、足背と前脛骨筋部に一部知覚の減弱を認める。
全身状態
夜間のかゆみが下腿にあり(うっ帯性皮膚湿疹)、静脈瘤も認めることから全身循環の不良を認める。皮膚が硬い。
歩いていて20分ほど経過すると、足が強くだる痛くなりしゃがみこんでしまう。
施術
初回
検査と全身状態の所見より、腰椎L4、5レベルの中期脊柱管狭窄症による座骨神経痛と判断。
施術前に狭窄症は腰部症状の末期状態であり、改善には時間がかかる(3〜半年)ことを伝え同意が得られたことにより加療を開始する。
肝臓と腸に負担がかかっていることから、肝臓と腸の調整を行う。
その後、骨盤調整を行い再び筋力テストを行う。
『さっきより力が入ります。腰も痛くない。ただ手を添えているだけなのに』と不思議そうな面持ちをされる。
初回はこれで終了。
腰の痛みが腰部ではなく、内臓疲労が原因で引き起こされていることがよく分かる。
日常の注意として、スナック菓子などの間食を控えるよう指示する。
二回目(二日後)
『寝起きの痛みがましです』と訴えあり。
前回と同様の治療に加え、さらに内臓疲労を取り除く目的で鍼施術を行う。
二回目はこれで終了。
三回目(6日後)
前回と変化なし。
二回目と同様の施術を行うと同時に、筋力低下を起こしている筋肉に対し筋力強化を行う。
自宅で行うトレーニングを指導し終了。
四回目(10日後)
『腰と臀部の痛みがほとんどないです。』と訴えあり。
内臓疲労も腹部の硬さが取れ改善傾向。
トレーニングも真面目にこなしており、筋力も改善傾向。
立っている際の下腿のだるさ、椅子から立ち上がる際の腰の痛みは残存。
五回目(7日後)
腰臀部の痛み消失。下腿のだるさも違和感程度まで軽減。
『今まで自分の大事な体を数百円の安いところに任せていたのが怖くなった。やはりお金をかけてしっかり見てもらえるのはいいですね。』と笑顔を見せての発言あり。
その笑顔に比例して状態は改善傾向。
自宅トレーニングにも慣れてきたため、別メニューを提示する。
六回目〜十一回目(約一ヶ月半)
ウォーキングも20分以上行えるようになり経過良好。
内臓疲労も取れており、骨盤の硬さも軽度残存のみ。
同時に脊椎の硬さ、硬膜の硬さも改善している。
一二回目(14日後)
坐骨神経痛による臀部痛・腰痛は消失している。
下腿のだるさのみが軽度残る。
『正直、ここまで改善すると思っていませんでした。腰の痛みがなくなったので満足です。』
と言われ、下腿症状が軽度残存しているも本人の目的が達成されたので本回で施術終了。
今後は足のかゆみ治療を当整体院で行うとともに、経過観察をしながら狭窄症施術をメンテナンスしながら行うものとする。
解説|なぜ、腰を触らずに腰の痛みが改善したのか?
なぜ、腰を触らずに腰の痛みが改善したのか?
腰痛では病院で多くの場合レントゲンを撮ります。
また、それが重度である場合はMRI検査を行い原因を探ります。
その結果『ヘルニア』『腰の変形(脊柱管狭窄症)』と診断され、手術の是非を問われるケースは相当にあります。
しかしながら、こうしたケースで手術を行ったにもかかわらず痛みが改善されないこともしばしばあります。
厚生労働省・腰痛学会が発表していることですが『腰痛の85%は原因不明』と言われています。(詳しくはこちら)
つまり、ヘルニアがあったから、腰に変形があったからという理由で一概には言えませんが、それ自体が腰痛の原因になり得ることはないということです。
当整体院では腰の痛みを訴えて来られるクライアントさんの腰を触ることはほとんどありません。
当院に来られるクライアントさんは多くの方が、他の整体・整骨院にいって腰の加療をしっかりと受けています。
もし、腰に原因があったとしたら、その時点で腰痛は改善しているはずです。
ですから、ケースにもよりますが腰を触っても改善しないことは初めからわかっているのです。
内臓調整について
身体には『内臓体制反射』というものがあります。
これは、内臓で起こった異常が脊髄を通して体表に現れる反射です。
例えば、胃が痛んでいる場合、人によっては背中にハリや痛みを感じることがあります。これが内臓体制反射です。
今回の内臓調整テクニックはこれを利用した整体法です。
反射が正常に働けば、原発になっている痛みに対して根本的にアプローチすることが出来ます。
間食を控えるという指導もこの反射を正常に戻すための指導です。
脊柱管狭窄症について
狭窄症は脊椎に起こるあらゆる症状の末期症状です。
多くの場合老化で済まされますが、この症状の怖いところは進行性というところです。
自分でも気づかないうちにゆっくりと症状は進んでいきます。
今回のケースでは早期にその痛みは改善しましたが、さらに進行するとここまで早期に改善することは難しかったと思います。
今回のケースに限らず、症状が出始めたら早期に対策をしていくことが最も重要です
この記事を書いた人
【京都市のコバヤシ接骨院・鍼灸院院長】柔道整復師、鍼灸師の国家資格保有者。ジオン療法セラピスト。総合格闘技道場GROUNDCOREのトレーナー、プロ柔術MATSURI、アマチュア格闘技イベントレグナムジャムのリングドクターも経験。スタッフのほとんどが京都人という、地域密着型治療院として健康を守っています。