年齢 56歳 性別 女性 職業 デスクワーク 所在地 京都市伏見区
主訴 顎が痛い(顎関節症)
概要|以前より、時々顎に痛みや違和感
以前より、時々顎に痛みや違和感があり、良くなったり悪くなったりを繰り返していた。2週間前にあくびをした際に左顎にバキッとした音とともに、痛みが強烈に悪化。安静時の痛みは引いてきたものの左顎を中心にだるさがある。物を噛む際に痛み、強く噛み締めたり、固いものを食べることが困難。
検査|開口一横指以上で顎の左側に疼痛
開口一横指以上で顎の左側に疼痛が生じるが開口可動域は正常。
開口時に後頭骨の連動が消失している。
頚椎周辺の筋肉に異常な緊張があり、座位で頭部が頚部に対し前に突き出た姿勢になっている。
斜角筋群・後頭下筋群に伸張性収縮を確認
頚椎後屈・左側屈時可動域制限を認める。
右回旋動作時に下部胸椎で制限あり。
施術
1回目〜3回目(週2日ペース)
顎関節症と判断し施術を開始。
後頭部から肩背部にかけての筋肉の緊張が強く、普段から前傾姿勢の傾向がある。
姿勢不良によって開口時に顎関節に負担が増している。
胸椎の両サイドを緩めると頚椎と後頭部の緊張が解放され、開口時の痛みが減少したことから胸椎由来のものと判断。
胸椎・肩関節の調整を主に行う。
3回目より、開口時の後頭部の連動が回復し、痛みが消失。顎の左側の違和感とだるさは残存。
4〜5回目(週2回ペース)
3回目の施術後に軽い頭痛がしたが翌朝には消失。
同時に顎のだるさも改善したと本人より報告を受ける。
次回より、卒業を見据えて再発防止のための治療を行っていく。
6回目(5日後)
施術当日の朝に大きなあくびをした際、顎の左側に痛みが走る。開口時・咀嚼時・安静時にも痛みが発生。調子が良かっただけに本人も落ち込んでいる様子。
しかし、症状に反して、筋肉・骨格の歪みは見受けられず、回復過程のなかの一時的な反応と判断。
以前のように痛みが長引くことはないと説明し、本人の表情に明るさが戻る。
循環改善を整える施術を行い、痛みが半減したことを確認し終了。
7回目〜9回目(週に1回〜週2回ペース)
前回の施術の翌日には痛みが嘘のように無くなっていたという報告を受けた。
また施術に通うようになってから主訴とは別にあった長年の就寝時のめまいがなくなっていたことも問診時に判明した。
再発も見られず、状態も良好のため、9回目で施術を終了とする。
解説|なぜ顎から離れた胸椎が原因に?
なぜ、顎から遠く離れた胸椎が顎関節症を引き起こす原因になったのか?
詳しくは以下の構造の説明を御覧ください。よくわかると思います。
背骨は一本の棒のようなものではなく、積み木のように17個の骨が積み重なって出来ています。
更には一番上には頭というバランスの悪い重しが乗っているので構造上は非常にバランスが悪いです。これは人間が二足歩行を初めたときからの宿命ですね。
そんな状況で胸椎の一部がずれるとどうなるか?
先程も書きましたが、身体のバランスは絶妙な骨の配置で成り立っています。
一部が崩れると、必ず何処かに歪みが出ます。今回はそれが顎だったとうことです。
背骨、頭、顎の連動
顎を動かす時、関連が強い部分は頚椎と後頭部です。
更にこれらの関連部分は靭帯や筋肉を介してつながっています。
では、これをわかりやすく体験してもらいましょう。
まず、背中を丸めて顎を前に突き出す姿勢を取ってみてください。すると背中から首の後ろ側にかけて硬くなるのを感じると思います。
そのまま口を開け閉めしてみてみると、通常よりも顎が開きにくいと思います。
次に背筋を真っ直ぐにし、肩甲骨を後ろに少し引いた状態で口を同じように開け閉めしてみてください。
さき程と比べ口が開けやすいと思います。
以上から、背筋の状態一つで顎の動きが変化し、連動することが分かってもらえたと思います。このように顎関節症による顎の痛みは胸椎の歪みからバランスを崩して起こることもあるのです。
総括
昨今では顎関節症の相談が非常に増えていて毎日のように問い合わせがあります。
その多くの方が、自分の顎のことを調べ、もしくは歯科受診をして自分が顎関節症でないかということを知っておられます。
しかしながら、その後、どのように治して行けばいいのかまでは認知されていません。
そして、顎関節症の治療ポイントは人によって様々です。
今回のケースのように顎だけ触ればいいというものでもありません。
背骨に原因があったりするのです。
もし、あなたが顎の痛みがあり顎関節症と知っていて、治し方を模索しているなら一度当治療院に相談してみて欲しい。
その痛み以外な部分に原因があるかも知れません。
どこで根本改善していいかわからない顎関節症にお困りの方へ
この記事を書いた人
【京都市のコバヤシ接骨院・鍼灸院院長】柔道整復師、鍼灸師の国家資格保有者。ジオン療法セラピスト。総合格闘技道場GROUNDCOREのトレーナー、プロ柔術MATSURI、アマチュア格闘技イベントレグナムジャムのリングドクターも経験。スタッフのほとんどが京都人という、地域密着型治療院として健康を守っています。