年齢 21 歳 性別男性 職業 学生 所在地 京都市
主訴 5キロ地点から起こる、右ふくらはぎの痛み
概要|走行時にふくらはぎ外側に痛み
長距離のマラソン選手。二週間前より、走行時にふくらはぎ外側に痛みが走り、記録を出すのに不安が残るとのこと。日常生活では全く痛みが出ない。年始2月にフルマラソンが控えており、ベストを狙っているため足の痛みが不安要素のため解決したくて来院する。
検査|ふくらはぎ外側の一点に強い圧痛
筋力テストや誘発テストにて異常が見られない。そもそも本人もどこが痛いのかうまく表現できていない。ふくらはぎ外側の一点に強い圧痛あり。
頸部の強い右側屈を認める。
日々の練習のため下腿の緊張が強いが、後頭部におった小学生時代の傷(縫い傷)を調整すると緊張の緩和あり。
施術
初回
右ふくらはぎの痛みは走行中の肉離れ。その要因を作ったのは小学生時代におった縫い傷が原因と判断。
疲労回復を目的に頸部と骨盤を触れる程度の力で調整。
その後、後頭部の縫い傷をうつ伏せのまま調整。
縫い傷を調整する際の力は触れる程度であったが、首・後頭部全体に強い筋肉のうねりと痙攣が起こる。
治療後再度検査。
痛みに関してはシチュエーションが限定的なため変化がわからず。
代わりに頸部の右側屈(傾き)改善を中心に姿勢改善を認める。
今まで怪我をしたことがなかったため、怪我を追った際の練習の仕方がわからないことも問題と考え具体的な方法を伝える。
(今回の場合は常に全力走行をしていたため、まずは自分の中で何%の力で走っても大丈夫なのかを確認してもらう。)
二回目
前回同様の治療を施行。
全力走行ではなく、50%程度の速度で走れば痛みが全く出ないとのこと。
このまま、肉離れの回復を動かしながら行っていけば、2月の記録も期待できるものになるでしょう。
解説|なぜ5キロ地点で痛みが出て、普段の生活では痛みが出ないの?
なぜ5キロ地点で痛みが出て、普段の生活では痛みが出ないの?
今回の肉離れを5キロ地点で再度損傷するからです。
マラソンランナーを中心にあることですが、長距離走行などを行う競技では『普段は大丈夫』『●●キロ地点までは大丈夫』であるが『●●キロ地点から痛みが出てくる。』ということがよくあります。
これは一度損傷した組織が瘢痕化し、繰り返しのストレスがかかることによって再度同じ部分を損傷するからです。
簡単に表現するなら、身体の中での治りかけの部分が脆いかさぶたによって覆われているけども、その部分にストレスを掛け続けるとかさぶたが外れてまた出血した・・・みたいなイメージですね。(わかるかな・・・)
かさぶたが外れるまでは損傷は起こらないけど、かさぶたが外れると再度損傷を起こしてしまう。
今回の場合、かさぶたを外す力が『マラソン』でかさぶたが外れたのが『5キロ地点』ということです。
(今回の場合は肉離れですが、こういうケースにある損傷としては、ランナー膝、鵞足炎、腸脛靭帯炎、アキレス腱炎、膝蓋靱帯炎 などがあります。)
◯◯キロ地点で痛む・・・というアスリートに対する当治療院での指導
回復のための指導としては、損傷が起こっていることに違いはないので、かさぶたを外す力のコントロールに着目しました。
多くの場合、怪我をしたことがない選手は『0か100か』で判断します。
痛いから、練習を休む→全力で走る→また休む→全力で走る・・・繰り返しみたいな。
これではいつまで経っても回復が得られません。
なので、こうした場合は『痛みが再現されない力加減まで走力をコントロールする』事が大事になります。
具体的には100%で走って痛い、でも80%で走っても痛みがでない。この場合は80%の力で走っても大丈夫。
80%で走って痛い、でも50%で走っても痛みがでない。この場合は50%の力で走っても大丈夫。
とこんな風に、自分の力加減を見える化し現時点で自分がどこまでの力を出しても問題がないのかを見ます。
これを人にもよりますが、一週間毎に測定します。
そして、力加減を変えても痛みが出ないならしっかりと回復しているので負荷を上げて様子を見る。こういう具合にすれば練習を休まず、また損傷の回復を行いながら走力を鍛えることが出来ます。
総括
冬場に入ると授業では持久走、マラソンや駅伝などが増え、ランナーにとってはシーズンに入る時期です。
必然と記録を狙うため練習量の増加による脚の損傷も増えます。
こういう時、痛めた損傷に対する正しい治療法も大事ですが、回復のための練習方法も重要になってきます。
回復過程の練習方法を知っておくことによって練習を休んでしまう不安、どこまで自分が回復しているのかがわからないと言った悩みから開放されます。
私自身も選手経験があり、このあたりのことは肉体的にも心理的にも理解できます。
ですから、もしこれを読んでいるあなたが『●●地点で痛い』『何度も同じ痛みを繰り返して治っている気がしない』というなら、一度当治療院に相談して欲しい。
その痛み、案外なんとかなるもんですよ。
◯◯キロ走行時に痛みが走る、このままでは記録が不安・・・というあなたへ
この記事を書いた人
【京都市のコバヤシ接骨院・鍼灸院院長】柔道整復師、鍼灸師の国家資格保有者。ジオン療法セラピスト。総合格闘技道場GROUNDCOREのトレーナー、プロ柔術MATSURI、アマチュア格闘技イベントレグナムジャムのリングドクターも経験。スタッフのほとんどが京都人という、地域密着型治療院として健康を守っています。