年齢 15歳 性別 男性 職業 野球部 所在地 京都市左京区
主訴 右肘の痛み(野球肘)
概要|野球肘が癖にならないよう来院
以前から通っていた鍼灸院で野球肘の施術を受けていたが肘の痛みに緩和はあるも練習でもとに戻ってしまい変化なし。現在、中学のクラブチームにて練習に励んでいるも高校での野球生活も見据え野球肘が癖にならないようにという思いからネットで当治療院を調べ来院に至る。
検査|膝をついた状態での送球時に肘の内側に痛み
本人のポジションを確認し、どのタイミングで痛みが出るかを確認。
膝をついた状態での送球時に肘の内側に痛みが出る。(投げる動作でも痛みが出る)
筋肉の状態を確認するとキャッチャー特有に肘の裏側の筋肉(上腕三頭筋)に緊張が強い。
また、投球時の肩の動きが非常に悪い。
打撃力を上げるための意識的な過食があり、肌の色、横隔膜、内臓の硬さを認める。
施術
一回目〜五回目(週に2回)
検査から肝臓の疲労による肘の痛みと判断。
しかしながら、こう告げても本人もよくわからないだろうと考えたため、まずは除外検査の目的で他の部分から施術を始める。
以前に受けていたように肘周囲のマッサージを施行→その後投球動作をしてもらうが変化なし。
肩から背部のマッサージを施行→同様に変化なし。
ここまでで、彼にとってこういった施術は現時点で野球肘に対して効果がないことを確認してもらう。
次に横隔膜と肝臓調整を触れる程度の力で施行→投球動作
野球肘独特の痛みがなくなっていることに驚いている。
その後、二球、三球と投げる動作を行うも痛みが出ず。
初回はここで施術終了。
以降、週二回のペースで来院してもらい鍼灸治療も交えて肝臓の機能を正常化する施術を行う。
この時点で痛みがほとんどでなくなる。
六回目〜十一回目(2週間に1回〜月に1回)
練習のハードさもあり時折痛みが再発する。
また、その他に付随する症状(肩の痛み)も見られる。
施術はこれまでと同様に行う。
選手として、本人は身体を大きくし、打撃力を上げたいという思いがあったために過度に食べている部分があったのでその点を指摘。
食事を通常に戻し、油ものを控えるよう指示。
食生活の改善に取り組み肘・肩の痛みは練習のハードな時には見られるものの、ほとんどでなくなるまでに改善し、施術終了。
その後、月一回、試合前は2週間に一回メンテナンスで通院をしている
解説|なぜ肝臓が野球肘の原因になっていたのか?
なぜ肝臓が野球肘の原因になっていたのか?
野球肘だけでなく、過度の内臓疲労は身体の何処かに歪みを引き起こします。
他の症例でも取り上げていますが、身体には内臓体制反射というものがあります。
これは、内臓の疲労があるとその臓器を守ろうとして周囲の筋肉が固くなる身体の防御反射です。防御反射が起こると、本来固くなるはずのない筋肉が固くなってしまい結果として身体の不調和を引き起こします。
今回のケースではその不調和が、野球で過度に使用する肘と肩に引き起こされたわけです。
肝臓疲労を引き起こしたのは過食
肝臓疲労は種々の原因で引き起こされます。
アルコール、ストレス、糖分、油もののとり過ぎなどです。また、アスリートではサプリメントも肝臓疲労を引き起こします。
競技アスリートはとかく身体を大きくしようと過食になりがちです。
私も経験がありますが、競技性とパワーを上げようと無駄に食べてしまい、内臓の負担を増やしてしまいます。
結果として、身体は大きくなるものの内臓の負担までは考えていないので疲労が溜まりやすく、息切れもしやすい。また怪我もしやすくなります。
過度の食事は怪我を作る原因になる?
生活習慣や悪いものを食べすぎて病気になるということはイメージがつきやすいですが、同様にそれらが原因で怪我を引き起こすことになるということはなかなかイメージが付きません。
競技をしている人は回りを見てほしいのですが、今回のように野球肘になる選手と野球肘にならない選手がいると思います。
その違いは何でしょうか?
これは身体が野球肘になる原因を作っているのです。
それは過去の怪我が原因になっている可能性もありますし、今回のように過食が原因で肝臓疲労を起こしている可能性もあります。
そこは人によって違います。
もし、競技自体が原因になっているのならすべての人が野球肘になっているはずです。
大事なことは、繰り返す痛みが出ている場合は競技の練習過程のみを見直すのではなく、生活習慣までを見直す必要があるということです。
総括
これは私事になるのですが、私は柔道や格闘技をしている時、たくさんの怪我をしました。
今思えば、それは身体を大きくし、無理に筋肉を搭載しようとしすぎた結果です。
今回のケースの彼も食生活を見直し、体重が適正になると腰のキレが増し打撃力も上がりました。
物事には『適正』というものがあります。
過ぎたるは及ばざるが如し・・・です。
それ自体が身体を壊すこともあります。
もし、これを読んでいる君、もしくはご家族がどこに行っても治らない野球肘に悩んでいるなら、それは競技上だけのことではないし、野球をやっているかたら仕方のないことでもないということを知っておいて欲しい。
どこに行っても治らない野球肘で悩んでいる君へ
この記事を書いた人
【京都市のコバヤシ接骨院・鍼灸院院長】柔道整復師、鍼灸師の国家資格保有者。ジオン療法セラピスト。総合格闘技道場GROUNDCOREのトレーナー、プロ柔術MATSURI、アマチュア格闘技イベントレグナムジャムのリングドクターも経験。スタッフのほとんどが京都人という、地域密着型治療院として健康を守っています。